晩秋の高原
ヒヤシンス


 晩秋の高原に吹く風が肌に冷たい。
 今は昔の心をもって現実を生きている。
 求める事も縋る事すら許されない。
 寂しさは明けては暮れてゆくものだ。

 退きながら遠景を見ている。
 高原は穏やかで美しい。
 寂しさは薄れ、苦しみが残る。
 全てを白日の下に晒したい。

 貴方のいない人生を想像してみる。
 私が消えた後の貴方を想像してみる。
 何か大切なものを見失いかけているのか。

 心が吐き出す汚物は塵となって舞うがよい。
 何があろうと前を向いて歩まねばならない。
 枯野となった高原に一陣の風が私に冷たい。


自由詩 晩秋の高原 Copyright ヒヤシンス 2017-11-11 06:18:29
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