悲痛が走る真夜中に
坂本瞳子

重くのしかかる目蓋は熱く
眠気を充満させる

頭が揺れる
カクン
カクンと

前へ
後ろへ

赤ベコのようであろう

頭が上方に持ち上がるたびに
束の間
目が冴える

乾いた喉の痛みが
心地良いくらいで

塞がった鼻の穴から
透明の液が滴る
神々しいほど透き通ったそれに
幻を垣間見る間もなく

このまま静かに眠りに堕ちて
もう目が醒めなくても構わないと
思う間もなく

胸の辺りは撃たれ
管を上昇し
喉を蹴散らして
口からゴホゴホと吐き出され
さらにゴフォゴフォととどまることなく
血飛沫さえも混じっているのではないかと
躍起になろうかというところで
闇夜の冷たさを思い知らされる


自由詩 悲痛が走る真夜中に Copyright 坂本瞳子 2017-11-10 23:49:56
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