僕はあるくよ
秋葉竹


僕はあるくよ

胸にあながあく病いながく患い

隣町に立ち上がる巨大な虹を見上げ

流れる雲たちの薄い白が

かぼそげな悲鳴ひとつ上げ、

消失していく夕闇が

時代を闇夜に描き変えてしまったあと。

あなたを失って2年、

私のなきごえは

いつのまにかに秋の葉の擦れ合う音に似て

冬の訪れを拒むあまり

孤独の後始末をすることとなる。

月なき
星なき
闇夜。

さざ波のようなとっておきの笑顔
あなたは浮かべて
お芝居をみつづけられると
こころからよかったと
感謝することもあったという。

ビルの隙間に吹く凍える黒い風の正体を
だれも知らず、だれも止められないという。

その夜を過ごすお相手は、だれ?

真夜中飛行船?

僕はあるくよ。
あなたと宇宙の真理に沿って
静かな夜の街を歩くのは、ほかにはだれ?

いまそこにいるうんめいの人の目に
僕の笑顔が映っていたらいいな。




自由詩 僕はあるくよ Copyright 秋葉竹 2017-11-08 21:14:02
notebook Home 戻る  過去 未来