飛び立ちのとき
藤鈴呼


音も無く忍び寄るシロサギの
バササと言う翼ばかりを連想しては立ち止まる
後ろを振り返り 松の実が溶けるまで待つ
全て重ねて煮出したら
どんなお茶よりも馨しいスープが出来上がるんだってサ

淡い朱色にも思える一部分で思い出すのは朱鷺
朱き鷺なのだから さも有りなむと一服をする
カチャカチャと打ちまくるキーボードに
たった今 コーヒーが零れた
キーの色が 黒で良かった
白かったなら トキと同じ窪みに入り込んで
立ち上がれぬところだった

雨の降る 秋の一日は 苔の色とともに濡れて
眼鏡の隙間から落ちる雫に
全てを預けたふう
ゆっくりと 確実に近付く ツバサの哀しみを
紐解きながら 見上げながら 歩む日々に

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自由詩 飛び立ちのとき Copyright 藤鈴呼 2017-11-07 00:12:57
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