埋めたてて
渡辺八畳@祝儀敷

暗く淀む沼があって、
底のない沼があって、
死体でそれを埋めたてて、
若者達の死体で埋めたてて、
死体はどれも血まみれで、
瞳は濁って光が無くて、
なかには首が折れているのもあって、
そんな無残な姿をした死体達で、
それを一体一体ひとりひとり沈めていって、
暗い沼に沈めていって、
死体で沼を埋め尽くして、
その上に家を建てて、
家は小さくてかわいくて、
そこに若い夫婦が住んで、
笑顔があふれる夫婦が住んで、
家の床板を外すと骨があって、
埋めた死体の骨があって、
長い年月で真っ白い骨になって、
血まみれの肉は腐り落ちていて、
だけど骨だけは残り続けていて、
その上に夫婦は住み続けて、
いつまでも仲良く住み続けて、


自由詩 埋めたてて Copyright 渡辺八畳@祝儀敷 2017-11-05 16:50:00
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