星の家族
吉岡ペペロ

大好きな高校を成績がわるくて退学させられる次男が心配だ

乳癌とたたかうためにオレは子宮を全摘した

来月右の乳房をとる

オレの生への執着は次男だけだ

子宮をとったら鬱っぽくなると言うけれどいまのところその兆しはない

もともととってしまいたかったくらいだからだろうか

次男を産んでオレは夫と当たりまえのように別れた

いつも反抗的な息子たちは病気の話をしたってかわらない

息子たちにとってオレは変わった母親に違いない

でもふたりを想うときよくついてきてくれたよなあという遠い気持ちになる

癌が散らばっていないかはまだ分からない

罰なのかなあと考えるときなんの罰かと思う

理不尽やひとの優しさはつぎはぎだらけであてにならない

オレだってそんなことばかりしているのだ

でも罰なんてそうそうあたるもんじゃないとも思う

三人での暮らしはふたりのどちらかが出ていくかオレが死ぬかで終わる

煙草はやめたけれどついくせで気分転換にベランダに出てしまう

たいした光景なんてないのだがもうすっかり南の空にオリオンが冬の星座だ









自由詩 星の家族 Copyright 吉岡ペペロ 2017-11-04 19:11:59
notebook Home 戻る  過去 未来