徒労
寒雪

冬空に輝く
無数の星を掴もうと
手を伸ばす幼児のように
ぼくも
毎日毎日
飽きもせずに
手を伸ばして
手中に収めようと
努力してみる
いつもは
面白みのない
心持ちで
つまらない思いをしてる
時々
濃厚な手触りに
心躍らせ
捕まえた手のひらを
そおっと開いて
確認してみる
でも
そこにあるのは
いつもいつも
1秒後のそれであって
ぼくが望む
1秒前のそれではない
がっかりしながらも
気を取り直して
何度も挑戦してみる
そうして
もう髭に白髪が混じる
そんな歳になった
ぼくにとって
結局
確かなのは
積み上がった「1秒後」
「1秒前」は
いつまでも陽炎みたいで
ぼくの手のひらに
素晴らしいまでの
造形を見せることはない
本当は
もう気付いているのに
それでも諦めずに
手を伸ばし続けるぼくがいる
救われないね


自由詩 徒労 Copyright 寒雪 2017-10-29 21:49:17縦
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