存在失格 (真夜中の三叉路)
もっぷ

くさくさする夜だった
何もかもがうまくゆかない
できたと思った即興のソネットは
書きとめようとした途端に
すべて蒸発してしまった

くさくさするこんな夜に
あなたにはごめんなさいを繰り返す
私の夫となったばかりに変えざるを得なくなった
いくつもの習慣や あるいはもしかして
全面的なライフスタイルの見直しに至るまで

私(あたし)さえ現れなければ

人間失格とかいうタイトルの本
一度も手に取ったことはないけれど
幾度も過るのは 私など(あたしはきっと)
存在失格なのだということ
あなたには

お願いだから探さないでね

と書置きしたい そして
……という物語が量産できそうなほんとうに
どうしてこんな夜があるのか(あるなんて
ちっとも知らないで産声をあげてしまってあたしは
それでもこのたったいま・・も神さま
ひととして生まれてしあわせ過ぎて泣いています
これって犯罪的ですか……)



自由詩 存在失格 (真夜中の三叉路) Copyright もっぷ 2017-10-28 11:53:34縦
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