幻聴
無限上昇のカノン

歌声が聴こえる
夜の海を越えて
さざ波のメロディに乗せて
誰かが歌っている
外を見れば灯り一つ見えない漆黒の闇
しばし アリアに聞き惚れる
私以外にも眠れぬ夜を過ごす誰かがいることに
ほんの少し安堵する

美しい歌声は唐突に途切れて
波の音だけが聴こえる
誰が歌っていたのかわからぬまま
闇を見つめる
あれは幻聴だったのか
眠れぬ夜が運んできたのか

気が付けば東の空は白み始め
新しい朝がやってくる
アリアを聴いて
心穏やかになった私は
やっとベッドにもぐり込む
波の音を子守唄にして
浅い眠りにつく

誰かがアリアを歌っている
夢の中でも歌声が
耳について離れない


自由詩 幻聴 Copyright 無限上昇のカノン 2017-10-28 10:23:07
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