逃避
ヒヤシンス

 秋の夕暮れ、お寺の境内でようやく歩き始めた小さな君が笑っている。
 空の彼方に雁の群れが飛んでゆく。
 秋の夕空は私の感情に似ている。
 どうしようもなく弱いくせに明日に希望を託している。

 小さな天使はそこら中をよちよち歩いている。
 今では私は私の胸の中でその光景を眺めている。
 私の道程、忘れる事は出来ないようだ。
 新たな出会いが私を孤立させるというのか?

 全ての分かれは恐ろしい。
 人生の綱渡りはもう疲れた。
 私を知る人のいない所へ行きたい。

 秋よ、秋。
 私をどこか遠くへ導いておくれ。
 お前の季節が過ぎ去る前に。
 
 
 


自由詩 逃避 Copyright ヒヤシンス 2017-10-28 04:26:41
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