飛ぶ
ピッピ

走り出す、走っていく、ぎこちなく、しかしそれは必然的に正しいポーズで。ニュアンスを放つ。蠢く、うねる。私がじっくりと存在をもっている。汗。無量大数なんていうまどろっこしい言葉を使わなくても、ゼロをいくらでもつけていけばいい、そんな秒、刹那。動く。生命を描写する。あなたのインターネット回線は、もうこの詩を、最後まで読み終えている。しかし、それはどうでもいい。それは結局、瞳に追いつかない。ただの欺瞞。テクノロジーの敗北。跳んだ!私は跳ぶ、飛ぶ、翔んだのである、その肩甲骨を昆虫の羽根のようにグロテスクに!空気を断えず搏ち続け、肉体は宙を舞う!む、飽きたからもう最後まで飛ばすと言うのか、私がこんなに綺麗に、一糸の乱れもなく、人間が考えうる、いや、人間を逸脱して飛んでいるとしてもか、いや飛ばさない、お前は一字一句私の言葉の克明なデッサンに惹かれ、私が生きている証を網膜に刻みつけるはずである、そう!私は空を斬りつけ飛ぶ!それは強靱な脚力から生み出された跳躍力のみならず、飛ぶに相応しいフォルム、そして飛ぶという鮮明な志向、つまり心技体の全てが!もう少しで終わるから黙って聞け。全身全霊を込めて、人間的な熱を帯び、軽やかに、私という存在が、あなたの見えないところまで、どこまでも飛んでいく。


自由詩 飛ぶ Copyright ピッピ 2017-10-25 21:55:53
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