僕は一枚の紙
まーつん

僕は一枚の紙

美しい物語が綴られるはずだった紙
だのに、その表面は虚しい無地のまま
降り止まない雨に打たれて
溶けだしてる



ある晴れた日、道行く人々が
ふいに風に舞う紙に変わる
そこに描かれた各々の生き様を
翼をもった者たちが拾い上げて読み上げる

地上には
沢山の紙が散らばる
読み上げられる無数の人生

それに耳を傾けるのは
雲の上に片肘をついて横たわる
眠たげな神様

彼がパン、と
両の掌を打ち合わせたとき
全ての命が終わり
舞い落ちる紙切れに姿を変えたのだ



自由詩 僕は一枚の紙 Copyright まーつん 2017-10-22 22:01:42
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