リリリリック
N哉

西武池袋線、果ては椎名町、おれ、という人間は実在性を欠きながら、のうのうと、淡々と、非生産的に、かつー、非効率的に、かつー、極めて排他的に、暮らしている

金色にモザイクがかった(全くもって、完成されたまっすぐさで)光は、おれに、まっ逆さまに、飛び込んで、存在感!って三文字を、グリコみたいなポーズで見せつけて、おれ、たじ、ろく

不可欠ではないのだから

行動圏にきちんと収まった、ティッシュ、マウス、エアコンのリモコン、それら、よりも、必要性や、可読性や、全寮制に欠きながら、嘘松やインスターチェと呼ばれるかの者たちより、顕示欲の経典を授かるべく、熟考する

とっくである

とっくに、顕示性の必要な世界に至っており、いつものように改札を抜け、いつものようにつり革手摺におつかまりになるだけでは、実在しないと判断されるような、いつものように呼吸をし、いつものように金木犀の香りを嗜んでいるだけでは、詩人でないと判断されるような、そんな世界に至っており、つけ麺はあつもり、松屋では特盛、地下世界に至っては逆さ森!そんな世界に!至っており!

逆に、呼吸すら、憚られ

木っ端微塵の未曾有に例の経典をふむふむしながら、狭まる「はいここまで健全!」とされる領域と領海に怯え、存在などするものか存在などするものか!おれはピーターパンです!職場中に響き渡る絶叫と、静かに訪れる長い沈黙、盛大な拍手と、見たこともないイケメン、おれ、目を細め「こんなにも実在性を表現できたのは何年ぶりだろう」ちょっと虚しいけど強ち悪くもない心持ちに至り、ニヤッとする


自由詩 リリリリック Copyright N哉 2017-10-18 13:55:13
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