鮃  ひらめ
藤鈴呼


ヒラリヒラリと舞う花も
雨に濡れて くったり萎む時間帯

朝顔 昼顔 夕顔と
ずっと眺めていられないから 美人は得なのね
印象的だから
すっと視界に入ったまま
脳裏の奥深くに蠢いたまま 離れない
そんな華

はらりゆらりと舞う花粉
白粉のような甘い香りは天花粉
天の花の粉だなんて何て馨しさ
もう一匙ちょうだいなと手を伸ばす
妖艶な指先に 全ての方向を定めてもらうように

指示器が壊れたら分度器も歪む
直角三角形の定規の切っ先で
皮膚をも切り刻めるかも知れなくて
ただ 突き刺さる玩具は コンパスだから
必ず 容器に仕舞っておくようにと指示したばかりで
その先の 直立不動の定規に叩かれる可能性は示さない

何者にも代え難いリボン
昔の体操選手のようなシナヤカサ
はためく穂のような重さで
全てを吹き飛ばしてしまうかのような感覚

サクリ 歯の隙間で揺れる
少し磯臭い身の焦がし方が
何よりも 素敵だった

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自由詩 鮃  ひらめ Copyright 藤鈴呼 2017-10-15 01:14:18
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