キモノリメイク
松岡宮

秋になったから母の着物を破いて
小さな袋をたくさん作る

空の向こうに羊雲が見えたなら母の着物を干すのです
ゆっくりお茶でも飲みながら
正絹が呼吸をする音に耳を傾けるのです
<考えたこともなかった>
赤い花模様 緑の草模様 
干した着物たちが風に揺らめいて
襟元に小さな蝶々が近づいてきました
<知らなかった>
じゅうぶん干したら着物を分解するのです
分解するときは思いきって手で破いてもかまいません
バリバリ音を立てながら
たもとや身ごろを取り外すのです
袷の着物は二重になっているから裏地も大事に取り外すのです
裏地もとても大事です
<知らないことだらけだった>
<母には母の人生があったなんて考えたこともなかった>
あやまちも諍いも火葬されるとは知っていたが
着物がすべて四角形で出来ていることは知らなかった
<取り組み甲斐がありそうだ>

秋になったから
小さな袋をたくさん作る
ゆっくりお茶でも飲みながら
猫の前足くらいしか入らないような小さな袋を
たくさん たくさん
作り続けている


自由詩 キモノリメイク Copyright 松岡宮 2017-09-30 23:20:16
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