里に下りて
藤鈴呼


哭きながら 栃の実を探す熊
今年は身入りが少ないのと嘆く

貴重な食料源を探し求めて山の中を歩くと
苔生した石が見えて来る

古びた南部曲家の奥に眠っていた馬たちを
ゆっくりと回想する

あの尻尾達に群がっていた蠅は
今頃どこへ行ったろう

ジョバンニに聞いてみたい衝動にも駆られるけれど
銀河鉄道は未だ遠い

淵野辺駅の到着音が
銀河鉄道999になったそうだと驚く

それはどうしてなのか

若者の多い街だから
未来へ向かうと創造するのだろうか

そんな想像を引っ提げては立ち止まる

大きな公園の程近くに ジャクサが在っただろう
イトカワの時には 大騒ぎもしたもんだ

駅前には鹿沼公園もあったろう
栃木を思い出す
同時に思い出すのは土地の実
それが きっと 本物の 栃の実

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自由詩 里に下りて Copyright 藤鈴呼 2017-09-27 09:01:58
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