栃の実
藤鈴呼


垂れ下がる実の向こうに
今年の豊作を祈る

今回の方策は如何でしたかと
進言する若者

拒絶する重たい実が
ごろりと横になる葉は
意外と頑丈

枝に掛けられた ハンモック
大きなリュックを背負ったまま
横たわっている

太いロープが 身体に喰い込んで
ちょっと 痛いね

もっと こう
安眠できるような気が
していたのに

飛び降りた瞬間に 足首を捻り
ウッと溜息

声にならぬ声を絞り出す心臓
静脈瘤の言う通り
掛け声と共に飛び出すハトの群れ
少し小さい 豆鉄砲の色が
薄茶色だった

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自由詩 栃の実 Copyright 藤鈴呼 2017-09-26 08:32:56
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