猫のような雲
藤鈴呼


秋晴れの庭園 左側に翡翠の原石
雲の向こうに にゃおんと鳴く猫を見た

銀杏並木とは言えぬ たった一本の存在感に
デクノボウなんて癒えなかった傷を塗り込む仕草

後ろを眺めて前を向いて 
トンチンカンな繰り返し

電車の名前は〃々〃ゞ
恥じらいを捨てたレール

滑車とトロッコの隙間に挟まった泥を落とすには
乾かさなければならないよ

未だ太陽が天に一番近いから
もう少しだけ我慢してね

影を待つんだ
自分の影は自分じゃ踏めないんだって
知っているだろう

逃げ水ならばどうだ
反射角度を利用して 順繰りに逃げて行くんだ

大理石に映る 金色の影が 細く棚引く時間帯
上を見上げたら 同じ場所なのに ライトが2本見えるよ

片方は青 片方は黄色
どちらから 夕陽が差しこんだのかを 
よくよく考えてみよう
くよくよ悩むんじゃなくて 熟考するんだ 
それが一番 大事だからね

銀杏だって 熟した頃が 一番美味しいんだよ
例えばレンジでチンしてさ
巷じゃそれを レンチンなんて 呼ぶらしいのだけれども
どこかしら レッチリを思い出してしまうから

あの映画 良かったよね 
うん 良かった って
いつまでも 語り継ぐために
忘れちゃ いけないんだよ 
感動した あの物語を

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自由詩 猫のような雲 Copyright 藤鈴呼 2017-09-25 23:42:23
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