風が流れると
藤鈴呼


芋虫の行進
葉の隙間を ウネルように
まるで 空が我等の大地であるとでも
言わんばかりに

バカンスを楽しむ
バカはカバだなどと言う格言は
唯だの言い間違いだと信じなさい

尺取虫と毛虫と蛹の違いを30字で表現しなさい
そんな名言すっ飛ばして転がる絨毯

車が引き殺す銀杏たち
放つ悪臭は想像するだけで鼻がひん曲がると呟いて
アスファルトに埋め込むことにした

だけどどうだろう 
ちょっとつらくないか

箒で集めた実の欠片達に
只今即刻放棄されて 言葉をも見失う

杯に注ぐ 雲と言う名の毒
恐怖は青空に埋めてしまいたかったから
ほんの少し縮れた空気感に しっとりさを足す

裂かれた葉の先は 
太い枝から伸びた小枝が
薔薇の棘に見えたのと
同じくらいの憂鬱加減

ふうと隙間風に夢を託す
吸い込んだ石の中に意思はあるのと囁いて
ゆっくりと歩き出す

あの山も川も谷も海も越えてしまったから
もう見えるのは天ばかりですと
点目で可愛らしく呟く
ビーズ玉のぬいぐるみに
今度 話し掛けて みようかな

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自由詩 風が流れると Copyright 藤鈴呼 2017-09-24 14:07:58
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