カラメルソース
藤鈴呼


私を敵に回すと怖いわよ
蔑んだような口調が
渡り廊下に響く
吸収素材ではあるが
温泉の如く 生暖かいような記憶
ぼこりと湧き出る雫は
不可思議に折れ曲がり
光の十字路を生み出した刹那
ゆっくりと 剥がれ始めた

屈折した心の奥に
闇の刃が佇んでいて
今斬ろうか 今切ろうかと
唇を開いて待っている
大きな断ち切りバサミが
布の手前にあって
包まれるのが先か
視界を閉ざすのが懸命か
悩んでいるふう

ここに楕円形の米粒が一つあって
さあ食べて御覧なさいと言われたら
一体どうするだろう
瞬時に感じる空腹感
我慢できぬ程の痛みを
炊飯器にブッ混んで 
タイマーを押す

プツリ途絶えた回線
物理的に円縄の方が楽だと知る
海に出れば
綺麗なホタルイカでも掬えるだろう
けれども
これから冬になって行くのだ
はみ出した汗を拭く隙間も
きっと残されていないに違いない

多分の隙間で
多聞に悩む
目耳にした物事の全てを
どう消化してしまおうかと
スプーン片手に
プリンに乗ったカラメルを
ゆっくりと 眺めている

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自由詩 カラメルソース Copyright 藤鈴呼 2017-09-10 11:26:31
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