ふるさと
寒雪

真夏の太陽が
目に厳しい午後
思い立って
アスファルトの上を
走ってみる
全力で
走ってみる
緩やかに
変わっていく景色
穏やかに
蘇っていく記憶
息が切れて
走れなくなった時
目からは
大粒の涙を
幾筋も流していたけど
悲しいわけじゃくて
奥底に眠っていた
思い出の数々が
ぼくを通して
溢れ出たんだと
体はそこにはいないけど
心がいつでも
寄り添って生きているのだと
感じられた刹那
頭上の太陽に負けないくらい
笑顔で埋め尽くされた
表情に気づいて
それこそが
拠り所なのだと
独りごちて
日が落ちないうちに
悲しいけれど
さよならをした
またいつか
走った時は
足がもつれないように
体を鍛えておこうと
なんとなくだけど思った


自由詩 ふるさと Copyright 寒雪 2017-08-30 18:30:37縦
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