サキソフォンが夜の道を歩いていた
やまうちあつし

サキソフォンが夜の道を歩いていた
あたり一帯高級な黒の絵の具を塗りたくったようで
サキソフォンだけが金色に輝いていた
暗闇は光を理解しなかった
途方に暮れかけたころ
黒くて大きな人がどこからかやって来て
サキソフォンをつまみあげた
金星と火星にあいだに
落とし物をしたらしい
ひとしきり音のシーツを敷き詰めると
その人はどこへやら去って行った


自由詩 サキソフォンが夜の道を歩いていた Copyright やまうちあつし 2017-08-26 21:28:08
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