天使かな?
水宮うみ

夏休み明けの初日、登校すると椎名の背中から虹が生えていた。
「天使かな?」
「たっくんいきなり何!照れるじゃんー」
「いや、可愛いということの比喩的表現じゃなくて、超常的な存在かな、の天使かな、だ。何があったんだよ」
「空から虹を捥ぎ取ったんだ!」
「バチ当たりそうだな」
「塩一掴み食べたから大丈夫」
「色々間違ってるぞ。なんでそんなことしたんだよ。ていうかできたんだよ」
「私空飛べることだけが取り柄なの言ってなかったっけ」
「初耳だな。お前ほんとに天使じゃん」
「天使なんている訳ないじゃん!」
「……」
「まぁそれで、空飛べるのに翼がないのが変だから、虹取ってきたの」
「そうか、よく分からんが分かった」
「次はオーロラ取って頭の上に乗せようかな。たっくん言ってるみたいに天使っぽくなるし」
「まぁ、羽目外しすぎるなよ」
「うん。まぁ、羽は生えてるんだけどね」
そう言って椎名は天使みたいに笑った。



散文(批評随筆小説等) 天使かな? Copyright 水宮うみ 2017-08-24 19:28:55
notebook Home 戻る  過去 未来