土砂降りの多い街
藤鈴呼


雨樋から伝わる 激しい水が
白く染まる

そもそも液体は 透明であるのに
疑問が浮かぶ

しとしとと そんな音など
一度も聞いたことが 無かった

耳を掠めるのは 何時だって
誰かの愚痴だった筈だろう

霧雨に覆われるのは 山路
ヘッドライトに映る 幽霊

存在感のない 冷たい言葉に
翻弄されたまま 進む

心の物語 静かに 深く 浸透し
目の前の 細やかな粒が 煌めく

雨だと主張されれば
濡れるアスファルトにも
納得がいく

飴のように反発する霙(みぞれ)は
カラリンと 不可思議な音を称え
静かに転がる

笑いながら
踊りながら
哭くことを 許されぬまま

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自由詩 土砂降りの多い街 Copyright 藤鈴呼 2017-08-06 10:28:07
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