夕空
藤鈴呼


太陽に にじり寄って行く雲を称えた夕空 
クロスするのは 誰かの溜息 
呆けたアオサギが 優雅に行き過ぎる 
その羽根の向こうに 明日を思う

ジャケットを脱ぐ バサっと音がする
立て掛けようとした座椅子が倒れて傷付く
引っくり返った蛙は 皆の笑われ者
躓いた石を 責める輩は誰もいない

濃い色グラデーション
生易しいほどに薄く切れた白身を
あなたと重ねてみる
ちょっと足りない
もう少し 焦がれるようにと説き伏せられた

空気が一瞬だけ淀む
ぐうるりと視界の先に潜む闇を飲みこめば
カラリンとした透明容器が哂う
少し相撲スナックに似ている
ねじり鉢巻きをした友を 思い出した

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自由詩 夕空 Copyright 藤鈴呼 2017-07-27 22:01:55
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