水底から空を
渡辺八畳@祝儀敷

つめたい水が流れ
ゆられる水草たち
淡色 葉は白く薄く
沈んだ石は絶えず
千年晒され続け
削れる なめらかにすべるように

潤う瞳には 空 遥か天の先は遠すぎて
持たない腕を水の上 伸ばしてしまう

水面みなも澄んでコバルト色
透かす空はあまりに深い
陽の陰を見る ゆれる世界
心たちが踊るのを感じた
静かすぎる水の底 光散るその中
いつまでも仰いでいた



流れは留まること無いまま
万年ずっと命を侵し続けて
全てが抵抗などできない
それが定めと言わんとするかのよう
無常の連続

湿った体では 空 めがけ泳ぐには重すぎるが
唯一つ持つ 魂を滾らすのさ

水底みなそこから湧いた泡が
水面向かい浮き上がるよう
求めるならば暗闇から
満ちる光目指し進むがいい
近づく熱感じながら最後の水を蹴り
今、空へ跳ね上がる


自由詩 水底から空を Copyright 渡辺八畳@祝儀敷 2017-07-27 20:27:47
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