SummerBlue
藤鈴呼


何処まで進めば「遠く」なのかを考える

1.あの道は通ったことがある
2.角の公園は行ったことがある
3.1キロ先の家から散歩中の犬に吠えられた

逃げ込む先は固い建物が良いと考える

学校か
家族の勤める会社か
買い物に出かけたショッピングセンターか

未だ「遠く」じゃない

自分を知らぬ誰かの住む場所
誰かも住まぬ土地
土地でもない何処か

この町に求めるものは何もない
ならば隣の町か 県境か 国境か
何処まで進めば自由になれる

命題は続く

十字路を過ぎた先に見えた雑草がやけに気になって
その先に進めない
タイヤはパンクしている
自転車を押す手が震える

怖いんじゃない
汗だと信じた粒が 赤い発疹だったから
ほんの少し 魂を 抜かれただけ
直ぐに 戻るから
ねえ 待ってて

低い声が アスファルトに乱反射して
自らの耳に戻る
手の震えは止まらない
何故 何故
留まらない

最近は誰のお葬式も出してはいないのに
目の前に鴉の群れが見えているみたい
声だけが不思議に響くのね

地に足を付ける感覚を忘れたから
今夜は ウォーターベッドで 寝てみようか
パンパンに干したシーツが熱くて
きっと 夢に 誘われは しないんだわ

ゴムに貼り付けた 間に合わせのボンド
小指を繋ぎ合わせるみたいに
カラメルの代わりにつけた マニキュア
応急処置 これで 合っているかしら

呟きが 煌めきと 交わり
ゆっくりと 進み始める

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自由詩 SummerBlue Copyright 藤鈴呼 2017-07-26 00:42:44
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