怒涛
葉leaf

新しい土地での新しい仕事も二年目となった。仕事の要領や手順もわかってきて、日々充実しているはずだった。ただ、私の上司は私のことを嫌っていて、一年目のときはとにかく集中攻撃をしてきたし、二年目になっても些細なことで因縁をつけてきた。私はその上司の隣の席だったため、この嫌がらせを終わらせるためには席替えが必要だと思った。席替えの要望は通ったが、それに気を悪くした上司は、さらに悪質な嫌がらせを始めた。私はひどく傷つき、仕事を休んで実家で傷を癒していた。
まさに夏真っ盛り、サッシ戸を開けて網戸にすると、蝉の声から鳥の声、土の匂いなどが入り込んでくる。私は苦痛に身悶えしながら、あらゆる意欲が消えていくのを感じていた。世のため人のため仕事をしていたのが馬鹿らしくなった。もうあの職場には行けない、そう思った。
家族や友人に話を聞いてもらい、私はこれまでのいきさつを文書にまとめ、ようやく心の整理がついた。あと重役と面談する予定も取り付けた。世の中に出るということは…。世の中に出るということは単純に責任を負うだけではない。このような目的から外れたくだらない悪意の対処もしなければならないのだ。世の中に出るということは…。外では蝉や鳥が夏真っ盛りの歌声を奏でていた。







自由詩 怒涛 Copyright 葉leaf 2017-07-23 05:22:58
notebook Home 戻る  過去 未来