ぼたん
藤鈴呼


久し振りの笑顔が映える
例えば 両手を広げて
何かを 迎え入れる覚悟を持った
兵のようだ

一つ一つは とても儚くて
散り散りに存在しているものたち
凝固する瞬間だけは
涙も鼻水も ぐっしゃぐちゃの笑顔で
引き攣りながらも 生き永らえる

俺たちは仲間だ
決して裏切らない
あすこに敵がいる
今すぐ灯りを消して

そんな叫び声ばかりが 轟けば
キーンと鳥が啼き ケーンと駆ける
今まで一度として 聞いたことのないような音
ハウる耳鳴りの合図 その代わりに
両手で閉じたい 耳たぶの
やわらかさ

そうだ もう 人生は
めまぐるしくも 面白くも 回るのだ
昨日まで 泥のように眠っていたハトも
今日は 豆鉄砲喰わされたような瞳で
瞬かせた隙間に 泉のような雫が舞い踊る

そこに風がなくたって
ここには自然が溢れているから
きっと 大丈夫だよ

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自由詩 ぼたん Copyright 藤鈴呼 2017-07-02 12:42:28
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