月明かり
服部 剛
グレープフルーツ色のグラスを、手に
今夜はこうして夢見よう
いつかは消える、この道ならば
少々頬を赤らめて
僕は知らなかった
今・この瞬間、世界の何処かで
赤子が産声をあげている
いつのまにやら大人になって
しかめっ面の日々を裂くように
雑踏を潜り抜けてきたけれど
今ももこうして、脈を、打つ
自分に祝杯をあげよう
グレープフルーツ色のグラスを、手に
転寝
(
うたたね
)
する…脳裏には
暗幕の夢の夜空に
おぼろ月
出来損ないの日々を演じる、自分さえ
今夜は何故か少しだけ
ゆるせそうな気がする
今まで、歩いてきた道を
自由詩
月明かり
Copyright
服部 剛
2017-06-30 20:07:14縦