ルオーの絵
服部 剛

私の内面の鏡には
百の顔がある

まともに視れば
自らがもたないので、私は

へどろに包まれながらも
発光する太陽の真珠を
自らの御魂みたまとして

秘密の祭壇へ
無心にのばす――両腕で
捧げる

机上に葡萄酒のグラスを置く、独りの晩餐会

古びた壁に掛かる絵は、かつて
ルオーが画布に描いた
貧しい月夜の街角に立ち
震えるのひとの傍らにいる

 おぼろないえす

少々、頬の赤らむ
私の前にあらわれる






自由詩 ルオーの絵 Copyright 服部 剛 2017-06-30 19:59:02
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