曇る鏡
田中修子

人は反射する鏡なのです

だれかをよわいと思うとき
わたしがよわいのです

だから感じることをやめなければならない
わけではない
人はほんとうには
神器そのままではありえないから

永遠に反射しあい
遠ざかるだけではない

肉と魂によって
あたたかく
抱きしめあえるでしょう

奥底の鏡であるところが
するどく散らばっており
ひとつひとつ
みががれているほどに
人のよわいと、にくいと、みにくいと
あまりにも感じるのは
それは、わたしなのかもしれない

奥底のいたい破片を
ずっととなりにいてくれて古びたにおいのする
ぬいぐるみのように
だきしめつづけ
ようよう
ぬくもりの投射


自由詩 曇る鏡 Copyright 田中修子 2017-06-28 21:03:16縦
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