立春
次代作吾

立春の日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びていた日
わたしは何も見ていなかった
空の青さも
道端のサムシングも
自分も
すべて が通過し
何も心に残らない
右足を前に出し
つぎに左足を前に出す
一瞬一瞬を生き延びている
苦痛の根源がここにある
一冊の名著だって気休めさ
明日になれば
また陽はのぼって
無慈悲に西へ沈んでいく
なんという暴力だろう
春が来るなんて
割り切れない


自由詩 立春 Copyright 次代作吾 2017-06-26 01:09:24縦
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