脳の中で
渡辺八畳@祝儀敷

美少女を
殴って
頬骨を折る
脳の中で。
美少女を
蹴って
腰骨を割る
脳の中で。
半透明な両手で
きめ細やかな肌のかよわい首を絞める
どす黒い痣が残るほど強く強く絞め上げる
塞ぎ止められた血流が押し返してきて
瞳は飛び出すほどに大きく開かれるが
力はゆるめられること無く更に更に
指が深く喰いこむほど強く絞め上げて
美少女は断末魔もあげず口元を震わせている
堅い首の骨が砕けた感触が鈍く伝わってきた
脳の中で。

真っ白な部屋。窓も扉も無い。
その隅に体育座りのかたちをしている。
着替えたことのないパジャマはあかで汚れていて、
ほほをつたってよだれが垂れている。
ひざに頭蓋がうずまっていて、
灰色のパジャマによだれをつけて、
いまがいつだかもわからない。

美少女の腕の真ん中を踏みつけて
透けている爪を喰い込ませながら
美しい手の平を乱暴に持ち上げ
てこの原理で一気に骨や筋ごと折る
馬乗りになって腹を潰しながら
赤く腫れ上がるまで顔面を殴り続け
眉間へも垂直に拳を跳ばし
確かな感触に自分の性器が激しく反応する
脳の中で。
ぷっくりとした尻の肉をナイフが往復するよう斬りつけて
血や体液が傷口から滲みだしズタズタになった後に
渾身の力を込めて平手打ちを響かせる
脳の中で。
つつましい乳房に太い針を何回も抜き刺しして
穴だらけになったところで皮膚をつかみ剥ぎ
中の脂肪を思いっきり握って引き千切る
脳の中で。
膣に裸電球を無理矢理突っ込んで
この時点で既に膣壁裂傷を起こしているが
構わず半透明な足でかかと落としを喰らわせる
中でパリンとはじけ割れた音がした
脳の中で。
ぐったりした美少女のつややかな長い黒髪をむしり取っては
醜く禿げた額のその下にある喉に奥まで手を突っ込み
荒く抜いた髪の束を押し詰めて窒息させる
脳の中で。

事果てた美少女は
傷だらけとなった体から解かれて
空高く昇天していく
しかし、
脳の中。
天は頭蓋の内側であって
その縁を沿ってまるで輪廻転生のように
美少女はまた現れて
そして殺される
脳の中で。
いっさいの抵抗もしない美少女を
半透明な四肢でいつまでも繰り返し虐殺して
表情だけは完全に透明なのだが
それは興奮が抑えられず笑いが溢れかえってしまっている
脳の中で。


自由詩 脳の中で Copyright 渡辺八畳@祝儀敷 2017-06-25 13:41:58縦
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