ママほしをとってきて
はるな


ママほしをとってきて はーちゃんちいさいからてがとどかない
むすめの背も手もたしかに小さくて、でもかんたんに星に届きそうな気もするけど。
わたしにも届かない、あれはとても遠くにあってだれにもすぐには取ってこられないんだよとむすめを諭す。
ママもまだちいさいのね とむすめが言う。
むすめが、誰も言ってくれないようなことをぽろぽろ口にしてくれる。砂を払う手のようにかろやかなかんじで。知らなかった、とわたしは思う。わたしはまだちいさく、つないだ手のひらはなめらかに熱く、雲のように自由だ。


散文(批評随筆小説等) ママほしをとってきて Copyright はるな 2017-06-24 00:04:03
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