解体
渡辺八畳@祝儀敷

無数にドライバーを突き刺され
美しきあなたの肉体よ
鋼鉄の逞しき肉体よ
それが端から崩されていく
何百人もの工員があなたの上を這って
いやらしく群がっては蠢いて
そしてみずみずしい肉体を剥ぎ取っていく
指や足の肉片が
横たえるあなたよりも高く積み上がり
赤き血と粘性の重油が混じりあっては垂れる
ああ、美しきあなたよ
長いまつげをぴんと張らせて
最後の時まで凛としている
肉体のいたるところに穴が開けられて
秘めたるモーターにもメスが入れられる
艶めかしく汁したたる動力よ
それさえも今では取り外され
がらんどうになったあなた
ああ、あなた、あなた
ついに頭部だけとなった
日に照らされ
鈍く反射する首の断面には
残されたボルトが傾いている
ああ、あなた、あなた
崩されてもなお美しく
切り離された鉄板一枚一枚までもが艶やかで
あなた、あなた
巨大な鉄球が勢いよく振り下ろされ
途方もないエネルギーがあなたに直撃する
あなたの肉体は破裂するが如く一瞬で砕け散り
あなたの破片は四方八方に飛散し
あなたは一瞬にして消え去った
もう何も語らない
ああ、あなた
それでも美しい


自由詩 解体 Copyright 渡辺八畳@祝儀敷 2017-06-20 19:23:09縦
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