ラブレターの行方
藤鈴呼


送り届けた後で キスをする
お決まりのワンシーンを見つめて
月が哂う

今日も お前達を
照らさねば なるまいか
路に長く伸びた影の分だけ
不満も積もる

其れが はらり落ちる 花びらならば
春の嵐とともに 吹き去るだろうに

ウエディングケーキの上に重ねた蝋燭よろしく
吐息では 許されぬ問題もあるのだ

一つ年を重ねたならば増える
一本のロウソク

年輪のように 膨らんで行くのは
横幅ばかり
腹に浮き輪を溜めこんで
何処の世界を 泳ごうと しているのか

あなたの愛しさを認めた
それは わたくしの 愛おしさとは
似て非なるもの
あくまでも 「あなたの」 に
他ならないのです

透明な封筒に貼る切手の色が
何時まで待っても 見つからぬのです
消印は 有効ですか
消えてしまっては 
印には なりますまい

リズミカルに響く スタンプ音と
窓に打ち付ける雨の 大合唱
心地良く 揺れる 花びらと ともに
暮れて 生きます

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自由詩 ラブレターの行方 Copyright 藤鈴呼 2017-06-18 08:43:08
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