どうにかなる日々
キクチミョンサ

冷え切ったラザニアを
フォークで突き崩して
手応えのないやわさと固さに
そこで満足した
フェイク・プラスティック
そんな顔しなさんなって、あやふやな初夏の断面
冷蔵庫になんて入らないまま
なんとなくふたりで
ゆっくり死んでいこうぜ


ぼくの名前は嘘にかぎりなく近く
愛を語るときもっともそれに似ていた
つきつめれば白色と赤色でできてる
ありあわせの食卓、地味な柄のテーブルクロス
ささやかな晩餐会
血と肉の味を同時に呑み込んで
もうしばらくなにも口にしない
たわむれにキスでもしてはくれまいか


さんざん殴ってきたのに
壊れないものだから
あなたが生きていたのか
ときどき不安になる
フェイク・プラスティック
賞味期限を忘れてしまったので
おそるおそるふれてはいるのに
相変わらずいい匂いがする
やわらかな乳房、かたくなな背骨


冷え切ったラザニアを
フォークで突き崩す
たいてい予想通りの
なんてことない日々を
なんとなくふたりで
それでも
なんとなくあなたとぼくで
死んでいきたいとおもったのだ




 


自由詩 どうにかなる日々 Copyright キクチミョンサ 2017-06-15 05:16:56
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