さいごはしとしとと雨
田中修子
いつか死の床で吹く風は、さらさらとして
すべての記憶をさらうでしょう
むせびないたかなしみは
いずれ天にのぼって雲になり雨とふる
信じているうちは遠ざかるものは
なにもおもわなくなるときにすべりこんできた
においたっていたむなしさはいま
しずかにみのってこうべを垂れているでしょう
ひそやかにあるのです
声高に求めずとも
すぐそこに、すべてが
死の床につくときに、記憶をさぐるように吹く風は
いましている息を重ねたものだから
さいごの溜息はきっと、雨上がりのいいにおいなのでしょう
自由詩
さいごはしとしとと雨
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田中修子
2017-06-14 21:41:17縦