惑星の先に
藤鈴呼


丁度良い角度で群がっている星達を
遥か彼方から見つめる夜
濃いガスの絨毯を乗り越えて
箒星の小言にもメゲズ
辿り着いた 一番星
自らが瞬く理由づけとしては
最高の雰囲気

カクテル ワイン シャンパン
何となく 泡の出る飲み物ならば
実は何でも良かった
それが 味気の無い
炭酸水で あろうとも
にこやかに 振り返ることが
出来た筈だった

誰かが呼ぶ私の名前に 少しの違和感
覚えたてのハミングが 半音階ズレる
指摘できる程 音には詳しくない
反吐が出る程の 不快感でもないので
放置しておいたら
星達が 文句を言い始めた

彼等は秒速よりも早いスピードで移動するので
絶対音感が必要らしい
少しの気温の変動や 太陽の角度によって
生き死にが 変わるのだ
それは 微妙な問題で
次の世は 約束されていないのですから
不安も 当然のこと

ビールに発泡酒
泡の出る液体としては 
見た目にも 判断しづらく 押し黙る
そんな瞬間を 期待していた
或いは 飲んだくれて 酔っぱらってしまえば
降り注ぐ痛みも 半減する予測
現実には困難を極めた
先ずもって 酔いの感覚が 掴めない星達

彼等を酔わせるには
どれだけのアルコールを積めば良いのだろう
はて 何処に?
宇宙船は 非常食で一杯だ
ミジンコ一匹たりとも 追加出来ない
重量の問題です! と 船長
逆らうには 荷が重すぎた

謎解きの術も知らずに
チカチカと瞳を動かすばかりで
潤う方法が 分からなかったから
ここには 天の川が あるのに
目薬よりは ちょっと加湿出来るだろうに
乾いたままの 充血したままの眼が
何時までも 何時までも 痛かった

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自由詩 惑星の先に Copyright 藤鈴呼 2017-06-11 14:55:16
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