午前3時の吉本隆明をぼくは忘れない
キクチミョンサ

午前3時に凍った血が
ことばの触手から逃れようとして
室外機のかげで汗をかいている
ぼくもまたひとつの原像
群衆の波にうもれているうち
体温はすこし
上がったみたいだ


敗北の構造は
ゆがんだ背骨に似ている
祈りはそこをすべりおちて
ちいさく光ったあと
地べたへ吸い込まれてゆく


片結びにしてしまって
ほどけない靴ひもとロジック
いつのまにか身体は冷えきっていた
夜明けが近づいても
この場所は真っ暗なまま
午前3時の吉本隆明をぼくは忘れない





 


自由詩 午前3時の吉本隆明をぼくは忘れない Copyright キクチミョンサ 2017-05-30 16:29:42
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