パン
はるな



空腹のわたしに
パンを焼いてやるよ
というひと
でもあんまりやさしいので
ついていくことができない
さむいくらい空腹で
びんの蓋もあけられないというのに

波がひくみたいな当然さで
いなくなる
もともといなかったふうになる
そんなのがさびしくて
ついていくことができない
パンを焼いたり
焼いてもらったり
してみたくても
それは許されないのだと
猫も犬もいうのだよ



自由詩 パン Copyright はるな 2017-05-24 20:51:22
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