子どもの澄んでる、のぞいてる
田中修子

応接間のおおきなガラス窓が雨ににじむ
雨ごしの庭って
おとうさんの画集にあった
モネのすいれんみたいできれい
ドガのおどりこはなんだかこわい

おかあさんは砂糖は骨がとけるという
おばあちゃんのこっそり食べさしてくれる
アイスキャンデー
ざらめのついたおせんべい
広いいえ、ふたりぼっちのごちそう
(お母さんのふといお骨)
(おばあちゃんの崩れ落ちたお骨)
(わたしのお骨はぐずぐずとけて、はしわたしのときみんなこまる)

おにいちゃんはおべんきょうでいそがしい
東大に入ってもさみしそう

金のハムスターもまっかな金魚も
うちにきたらすぐ死ぬ
子どもがショックを受けないように
こっそりあたらしいのととりかえれくれている
気付いていることはかわいくないから
知らんぷり

リカちゃんの首をしばっておままごと
「首を吊るされると顔はあおぐろくなるんだよ」
ふしぎそうなかおのともだち
なんでしっていたのかわからない

きれいな絵こわい絵、うつろうガラスの向こう
死んだあとのお骨のこと、手にいれて色褪せるもの
たいせつにされないいのち、もしかしたらの前世の記憶

透けてる

あのころわたしがみていたのは
いまみている光景よりずっと
ごまかしがきかないものだった


自由詩 子どもの澄んでる、のぞいてる Copyright 田中修子 2017-05-12 07:20:43縦
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