つききれい
たいら

近頃夜空を見上げても
何故だか月が見えないんだ
一等星の瞬きや
飛行機の灯りは見えるのに
街の光が隠しているのか
それとも永久の新月か
「前を見ないと躓くよ」
分かっている、そんなこと
それでも月の無い夜は
胸に穴が空いたような
寂しくて虚しくて
堪らなく不安で
兎になりたいと願った少女
重力に縛られ動けないの
立ち尽くす歩道橋の上
「ほら、もう、夜が明ける」
分かっている、そんなこと

彩りを変える空の向こう
白く焼かれた視界の隅に
見つけたんだ君の姿
ずっとそこにいたんだ。


自由詩 つききれい Copyright たいら 2017-04-24 19:40:43
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