氷の足跡
藤鈴呼

ふっと舌打ちをして 
音を耳にする瞬間までに
つま先を 膝から上まで飛びあげる作業
骨がパキキと鳴ったり
粒がキリリと噛んだりするのも
承知の上

ふっと横目で見やる世界
はっけよいの声は聞こえぬ
打てば響く鐘のような理不尽さ
抱えきれぬ洗濯物だから
もう一度 脱水かけても いいですか

そんなふうに走る
そんなふうに 生きて来た
これは 私の 方法論ですから
あなた方に ガタガタ言われる筋合いはない
ないのですけれども
ほんの少し 痛んだ両親

良心の解釈如何によっては
正攻法とも言えるし
正誤法とも癒えぬでしょうと おままごと
ここに 泥団子があれば
あとは 完璧なのですが
平たいしゃもじが みつからないの
あれがないと
もじゃもじゃの輪郭が
キレイにならない

透明人間に
ずっと 憧れてきた
長靴のサイズだけは 定位置
どの軌跡を歩んだのか
彼にしか 分からぬ方向を指し示す
氷の足跡が 含みを持たせた笑顔を
連想させるのです

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自由詩 氷の足跡 Copyright 藤鈴呼 2017-04-14 09:40:08
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