貝殻の記憶
藤鈴呼


ザプンと飛沫が上がる度
痛みが 一つ 弾けます

空は 真っ新なほどに 青くて 白くて
耀く太陽が 全てを覆い尽くす程に
ツライのですが

その言葉を 発する手前で
光が 消して しまいます

砂に書いた言葉が
いけなかったのでしょうか


きっと

手にした棒に 描いても
同じだったのだと 信じて
前を 見つめると

ザプン
さっきよりも 少し大きな波が
何かを 弾き出しました

あれは 珊瑚
岩場に貼り付く 貝殻みたいに
無言では ないの

いや 違うね
本当は ホタテみたいに
中身は 面白いのだけれども

普段は 脳を 閉じているから
見えない だけなの

右か左か
あなたは
揺れながら 歩くのが 癖だから
分からないけれど

とにかく 私が 眺めているのは
一部分だから

・・・ね?
カプン

貝殻が 食べた
わたくしの 指が
ちょっと 痛い

でも 大丈夫
もう一度 口を開けば
取り出せるから

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自由詩 貝殻の記憶 Copyright 藤鈴呼 2017-03-28 00:18:32
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