赤と青と白のぐるぐる
田中修子

あなたのお城
まるでおとぎ話

とうちゃんはどぶ板通りのかんばんや
かあちゃんはモモエちゃんも結ったパーマやさん
赤と青と白のぐるぐる
さび付いて止まっている

懐かしさに沁みて泣き腫らした目

目を離すといてついた海へ
泳ごうとする女の人
そのひとが太ももに刺した
青い絵のしたがき

骨壺に眠る
犬のハチの骨
逝ったものたちのあしおとが
ひたひた城に満ちていた
あまい牛乳みたいだった

城を壊しときはめぐりはじめた
めざめたわたしはあなたを
置き去りにした

わたしが眠っていたあたりに
あなたが眠ろうとしている

紅梅が散る、晴れわたる空、燃え枯れたあなた

赤と青と白のぐるぐる
なつかしさで溶こう
やさしいあさやけのいろ


自由詩 赤と青と白のぐるぐる Copyright 田中修子 2017-02-25 22:42:43
notebook Home 戻る  過去 未来