一番列車
讃岐どん兵衛

静かな朝六時東の空から

水平線から色づいていく

まばらな客乗せた一番列車

誰ひとりこの瞬間を

眺めようとしないで

この美しさも彼らにとっていつものことなのだろう

コンビニで買ったおにぎりみっつ

口の中で広がる あの空のように

進む先に 陽射しは増してゆく



いつもの晩より飲みすぎたような

顔色冴えない眼鏡のおじさん

会社に着けばきっと働きもので

一家のためにと

耐えてゆくのだろう

本当の姿なんてここでは分からない

コンビニで買ったおにぎりみっつ

口の中で広がる あの空のように

進む先に 陽射しは増してゆく



ボソッと聞き取れない車内アナウンス

終着駅へと近づいていく

降りゆく人たちよ今日も元気でね

この国を背負っている

立派なうしろ姿

自慢話しや苦労話しいつかは聞かせてよ

コンビニで買ったおにぎりみっつ

口の中で広がる あの空のように

進む先に 陽射しは増してゆく

進む先に 陽射しは増してゆく


自由詩 一番列車 Copyright 讃岐どん兵衛 2017-02-25 00:35:18縦
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