最高のチョコレート
藤鈴呼


この香りは モカ
香ばしい中にある 色気のような湯気が
もっつりと上がる瞬間
急激に 餅が食べたくなった

半分だけ焼いた トースターの中
未だ まっちろいまんま
そして 円形は崩さずに
仲良く 並んでる

前倣えをすれば
一番先頭のあの子だけが
汽車ぽっぽみたいで
本当はちょっと
羨ましかったんだ

色はゴールド
カサカサとした包みを開くと
てらてらとした液体が 流れ始める
ウイスキー・ボンボン
ネーミングが 何だか可愛らしくって
オヤジから少女へ
イメージは 七変化した

あの 七色の鳥は 何
カラス
巷では 大嫌いと称される あの鳥が
電線の上で 震えてる
震えているの

ねえ 見える?
揺れた 電線の裏で
風が 笑っているでしょう
ゆっくりと 身体を 揺らすのよ
それとは 気付かれないように
存在感を 消したままで
香りだけで 鼻先を くすぐる
最高の チョコレート みたいだわ

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自由詩 最高のチョコレート Copyright 藤鈴呼 2017-02-24 22:16:01
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