嘯き鳥の花の香
日々野いずる

バックライトに照らされた
木から落ちる花の香りが
人の鼻をくすぐりくしゃみをさせる

排ガスに巻かれた花の香は
それ自体もいつか白く濁った
うつくしい鉱石になっていく

そんなことは実感できずに
日々を送る人
かなしいねって嘯いた
鳥が人より早く死んで
看取られないように空高く
太陽に焼かれるまで飛んでいって
息を苦しくして
ぽとりと落ちる

それを生だと人は言う
それが死だと人は言う

鳥は
空高くまで去ってしまい
かなしいねって次の鳥が嘯いて
その代わりに大空ゆっくりと回り見て
飛んでどこかまで行ける


自由詩 嘯き鳥の花の香 Copyright 日々野いずる 2017-02-22 11:06:42
notebook Home 戻る  過去 未来